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血と暴力の国

本年度アカデミー賞作品賞を受賞した『ノー・カントリー』(原題:No Country for old men)をレンタルしました。コーマック・マッカーシーの『血と暴力の国』が原作だそうですが、原作の題名どおり、血なまぐさい映画です。

このところのアカデミー作品賞受賞作って、そう考えると結構社会派で血なまぐさい映画が続いてますねー。去年はギャングと警察の抗争を描いた『デパーテッド』、おととしは、アメリカの人種差別や麻薬、銃の問題を描いた『クラッシュ』・・・アメリカもタイタニックが作品賞を受賞してたころと違って、自国の問題を真摯に受け止めようとする姿勢がでてきたのかしら。(そうだといいんだけどねー。)

さて、この『ノー・カントリー』、ハビエル・バルテム演じる冷酷極まりない殺し屋と、彼のお金を持ち逃げしたジョシュ・ブローリン演じるカウボーイの抗争が軸なんですが、結構目を覆いたくなるような残酷な、血なまぐさいシーンが続くわりに、結構クスクス笑いながら観れてしまうのは、やっぱり監督のコーエン兄弟のユーモアのセンスというか、間の取り方のうまさなんでしょうねー。本作なんて、音楽も一切使われていないで淡々としているのに、ハラハラするわ、笑えるわ。

私はコーエン兄弟の描くアメリカの田舎がすごくリアルで好きですねー。変なナマリとか、すっごくさびれたモーテルやダイナーなどの風景・・・。個人的には『オー・ブラザー』『レディー・キラー』みたいなコメディ色の強い作品のほうが好きですが、本作は『ファーゴ』や『バートン・フィンク』風でした。そういえば『ファーゴ』のフランシス・マクドーマント演じる警官の喋り方も面白かったなあ・・・。とりあえず、彼らの作品を見ると、アメリカのど田舎には絶対住みたくないって思えます(笑)。

ところで主演のハビエル・バルテムはやはり本作でアカデミー助演男優賞を受賞していますが、先日ブログで紹介した『コレラの時代の愛』の時のロマンチックな役とは正反対な
冷血な殺し屋を有無を言わせず不気味さで演じていて、すごかった・・。彼は『ハモンハモン』や『ルルの時代』などでセクシー男優として登場したのに、『夜になる前に』あたりから、バンデラスとかとは一線を画す社会派&演技派俳優として認められるようになった気が・・。(それにしても、私は全部観てるのに、ハビエルの印象があまりないのはなぜだろう?)

なんだか話が逸れましたが、見ごたえがある作品で、ラストも一辺倒のハッピーエンドではないところが好感が持てましたが、アメリカで日々ストレスをためて生活していると、こういう作品を見てストレス解消には・・・なりませんでした。同じくノミネートされていた『つぐない』(ATONEMENT)のほうが個人的には好みでした。

by slimshady163 | 2008-05-10 00:48 | 映画

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